Cosmetic Clinic Section

美容クリニック部門

◉ 美容クリニック部門概要

本事業は、美容クリニックの理念とそのミッションの達成度を、公正、かつ、適正に評価すること、
数値だけでは見えない魅力にもフォーカスし多角的に評価することで、
日本の医療・保健・教育の向上と充実を図り貢献する事を目的としています。

「集中格付」の評価委員と医療アナリストの総合的判断により、毎年格付を行い当HP上、及び、発行物等で公表致します。
評価は、書面調査と訪問調査を行い、毎年の更新時に書面を提出して頂きます。

 
 
 
 

【集中格付・美容クリニック部門 実施要項】

 

対象施設

自由診療を行う全ての美容クリニックを対象とします。クリニック毎の評価を行うため、複数のクリニック(支店)を展開する医療法人様は、申請するクリニック(支店)毎のお申し込みとなります。費用は「5.審査費用」をご覧下さい。

評価基準

書類調査は、22の評価項目と経営管理指標をもとに評価。訪問調査は、定められた評価項目に従い、美容アナリストが覆面で行います。書面、訪問調査に加え、一般登録モニターの意見も参照し、多角的に評価を行います。


評価 ※( )内は評価点

AAA 最高級レベル 点数 150〜135 B 中級下レベル 点数 90〜60
AA 高級レベル 点数 134〜114 C 不適格レベル 点数59以下
A 中級レベル 点数 113〜91

格付価認定証の発行と報告書によるフィードバック

評価認定証は、お客様が求める医療の安心安全の証明となります。評価判定の結果の報告と共に、必要があればアドバイス、及び、全体を通したコメントを述べ、改善、向上の支援を行います。



審査の流れ

お申込

①:「集中格付」HPの「登録用フォーム」に必要事項をご入力下さい。
②: 格付申請は、ID/PWを入力し「審査入力用フォーム」から入力をお願い致します。
※ 更新は前回の評価認定証発行から1年。
※ 更新手続きは、期限の2ヶ月前に行う。

審査費用

3,000,000円(税別)/1法人・1支店(※1)・1年(※2)
※ 請求書は、「登録用フォーム」に入力された医療法人の理事長宛に発行致します。
※ 複数支店がある場合は、追加の支店ごとに、500,000円(税別)の審査費用を申し受けます。
評価認定証は、支店ごとに発行し、アドバイス及びフィードバックも行います。
(※1)支店とは施術を行うクリニック1店舗(※2)1年ごとの更新


 

 
 
  • 「日本の医療の未来を考える会」
  • 消費者庁/厚生労働省おしらせ

健康被害が続出する日本の美容医療 健全化のために何をすべきかを考える


美容医療の合併症による健康被害の情報は、ほとんどの場合、表に出てくる事はないが、それでも多くの被害が出ている事が明らかになってきている。形成外科や美容外科のきちんとした教育を受けないまま開業し、問題のある治療を行っているケースも少なくないという。日本の美容医療の現状はどうなっているのか、また、健全化していくためには何をすべきなのだろうか。4月15日に衆議院第一議員会館で開かれた「日本の医療の未来を考える会」の美容医療分科会では、この問題に関して数々の提言を行っている、地域医療機能推進機構(JCHO)大阪みなと中央病院病院長で美容医療センター長も務める細川亙氏に講演をお願いした。また、講演後には厚生労働省や消費者庁からの出席者も交えて活発な議論が行われた。

三ッ林裕巳「日本の医療の未来を考える会」国会議員団(内閣府副大臣、自民党衆議院議員、医師)「美容医療の需要が高まる中、消費者問題という観点からも、健全な美容医療を広めていく事や、この分野の医療事故を撲滅する事は重要です。国民に資する美容医療を提供していただきたい。国は環境整備に努めていきます」

尾尻佳津典・「日本の医療の未来を考える会」代表(集中出版代表)「美容医療の現状を取り上げたのは、この分野で多くの医療問題が生じている事を知ったためです。厚生労働省や消費者庁にも、多くの被害が届けられているようです。本日は、この問題について多くの発言をしてきている細川亙先生に講師をお願いしました」


日本の美容医療の現状と取り組むべき課題
■形成外科と美容外科はどう違う?

「形成外科は病気の人を相手にして疾病を治す診療科で、美容外科は正常な人をもっと美しくする診療科」とよく説明されます。しかし、そうとも言えない部分もあり、医療としては明確には区別出来ない、と私は考えています。昭和の中頃に医療保険制度が日本に導入されて、保険で行うべき医療か、行うべきでない医療かを区別しなければならなくなった時に、後者に属するものとして「美容」を分類したのであって、医療としての分類とは言い難いのです。

例えば、傷跡を治す手術は基本的には保険適用になりません。ただし、傷跡に引きつれがある場合や傷が盛り上がっている場合には保険で治療する事が出来ます。後者は形成外科の手術、それ以外は美容手術と言いますが、行う医療は全く同じです。保険上の区別にすぎないのです。30年ほど前、乳がん手術後乳房欠損は、健康保険を使って再建してはならないとされていました。単なる見かけを改善する治療とみなされ、言わば贅沢な手術と考えられていたからです。現在は行政の見解が変わり、乳房再建術は保険収載されています。同じ医療でも、それが保険医療か否かは時代によって、そして行政の判断によって変わります。

■医療保険制度が導入された後の医療の変化

公的医療保険制度が導入されてから、保険で行っていい治療と、そうでない治療を厳格に峻別する事になりました。誰が治療費を払うのかという点からの区別が必要になったのです。そして医療保険の導入後、厚生労働省が保険で給付すべき医療についてしっかりと指導を行ったため、保険医療に関しては安全安心な医療が提供されるようになりました。それにより日本の保険医療は国際的にも高く評価されるようになりました。一方、保険が適用されない医療に対しては、行政は関与を控えました。消費者(患者)と医療機関とで勝手にやりなさい、という姿勢を取ってきたのです。こうして美容医療は管理監督者のいない医療になりビジネスとしても医療としても、多くの問題を抱える分野になってしまいました。

管理監督者のいない医療にはコンプライアンスに欠けた医師や拝金主義の医師が集まってきます。美容医療分野では医療機器、医療材料、医薬品等の質が保証されていなくても医師の裁量で使えるため、反倫理的商法が横行し健康被害が続発する事態となってしまったのです。

■美容医療の失敗や合併症は?

美容医療による健康被害は昔からありました。有名な新劇女優の松井須磨子(1886〜1919年)は鼻が低いために俳優養成学校の入学を断られ、当時の最新技術とされた鼻筋に蝋を注入する隆鼻術を受けて女優になりますが、後年その後遺症に悩まされる事になります。顔が腫れて炎症を起こし、痛みのために寝込む事もあったそうです。

恋仲にあった小説家で戯曲家の島村抱月が、1918年11月にスペイン風邪で亡くなると、須磨子はその2カ月後に自殺しています。後追い自殺とされていますが、私は美容医療の合併症を苦にした事も関係していたのではないかと思っています。

この合併症と同じ事が、反省される事もなく現代でも起きています。注入式の隆鼻術を受けて鼻が変形したり、壊死したり、失明したりするような合併症が今も起こっているのです。皮膚を切らずに注入するだけの美容医療が、「プチ整形」等と呼ばれて気軽に行われています。医療を受ける側は、切らなくていいのなら安心と、ちょっと化粧でもするような気持ちで気楽に受けます。しかし体に注入したものは、それが体に悪いものでももう二度と取り除く事は不可能です。隆鼻術のみならず、豊胸術等でも注入式の施術による被害は多発しています。

数年前に消費者庁や厚労省が中心となって、消費者(患者)に注意喚起するためのチラシを作りました。行政が美容医療分野の問題に取り組む姿勢を示したのは大変良い傾向ですが、美容医療の世界はしっかりとした管理監督無しに良くなっていくような生易しい分野ではありません。

2015年には日本医大病院形成外科による医療保険不正請求事件がありました。日本医大では1970年代から、異物注入後の乳房のしこりは乳がんとの鑑別が必要と考え、また異物注入後は免疫疾患に罹患する事もあるので、豊胸術後後遺症は保険医療の対象であると認識していたそうです。ところが、厚労省関東厚生局の監査があり、豊胸術の後遺症は、たとえ免疫疾患や乳がんを発症しても、自費で治療しなければならないとされたのです。結局日本医大病院は不正請求したとされ、医療費を返還させられ、当時の日本医大の形成外科学教授は処分されました。

この事件以降、「美容医療後遺症に対して健康保険は適用されない」という事が、厚労省からの正式の通達等はないまま、伝言ゲームのように全国に広まりました。しかし、文書として残るような厚労省通達は見つからないので、厚労省がそのような指導をしているという確たる証拠がありません。私はいろいろ調べて指導の証拠を見つけ出しました。2017年7月6日の「第2回美容医療連携協議会議事録」を見ると、「豊胸術で注入される物質が原因で乳がんになった場合、その治療に保険が適用されるのか」という美容医療関係者の質問に対し、医政局総務課の担当者が「因果関係がはっきりしなければ、健康保険は適用されるであろう」と答えているのです。つまり、美容医療で生じた乳がんであるという因果関係がはっきりしていれば、その乳がん治療に健康保険は適用されない、という見解を示しているわけです。

この見解の根拠とされる理論は3つです。1つは「被害者自己責任論」です。自分で選んで受けた医療で被害を受けたのだから、自分が責任を取りなさいという事です。しかし、健康保険法には、故意で怪我や病気をした場合のみを保険適用から除くとしています。美容医療の被害者は被害を受ける事に故意だったわけはありません。

2番目は「混合診療禁止論」です。しかし、美容医療で生じた後遺症を保険で診療すると混合診療になるのでしょうか。美容医療の注入物が原因でがんが出来たとしても、美容医療医はがんの治療等していません。後に生じたがんを別の医師が治療するのを混合診療と見なす事は出来ません。

3番目は「第三者行為論」です。被害を生じさせた美容外科医が悪いのだから、そこから治療費を取れという話です。そうだとしても、とりあえずは保険医療が給付されるのが当然です。やくざに刺されたけがの治療も、やくざに治療費を払わせるべきですが、まずは保険で治療が行われます。この件について2020年9月に私は厚労省と話をしました。この3つの理論以外に美容医療合併症を保険給付外にする根拠はあるのかお尋ねしましたが、返事はありません。その後、保険局医療課から「美容医療の合併症だからという理由だけで健康保険の適用外とは判断しない」というニュアンスのメールを私個人宛にいただきました。今後、通達等の形で公式に見解を出して全国の医療機関にきちんと知らせてほしいと思います。

今後、厚労省には保険医療に対すると同様に美容医療もしっかりと監督していただかねばならないと思います。美容医療医が怪しい注入物質を根拠なく使い、それで被害者が出た場合には、業務上過失傷害等での処罰を求めるような強い姿勢で臨むべきです。医療材料や医薬品に対する医師の裁量権が、保険外医療ではあまりにも大き過ぎるので、制限すべきだと私は思っています。

■美容医療は産業として魅力がある

美容医療を厚労省が監督して保険医療と同じようなレベルまでその水準や信頼性を引き上げれば、日本の美容医療は世界の美容医療の覇者になれます。日本の一般の医療は国際的な信用があります。日本の疾病医療はブランド力があるので、きちんとやれば美容医療も必ず伸びます。抗加齢医学を含めた美容医療は、産業としても大変有力な分野です。

産業として成功させるためには、国内の病院やクリニックで健全な美容医療が実践され、大学医学部等で新しい治療法の研究が進められ、産学官共同での美容医療機器の開発等も進めていく事が必要です。

その時、日本の美容医療は世界の憧れの医療となる事でしょう。


【質疑応答】

 

尾尻「美容医療では患者満足度を上げるためにどういった事が行われていますか」

細川「それはほとんど何も行われていないと思います。最近まで美容外科学会(JSAPS)の理事長をしていた大慈弥先生がいらっしゃいますが、この点について学会ではどうでしょう?」

大慈弥裕之・福岡大学医学部名誉教授「JSAPSでは5年ほど前から、美容外科の健全化をテーマにして、満足な美容医療が出来るようにと取り組んできました。美容医療では、満足度を短期的なものと長期的なものに分けて考えます。健康被害で問題となっているのは、多くは異物を注入する医療です。最初は問題がなく、3カ月頃から異物反応が出てきます。注入物質が改良されると、1〜2年、あるいは5年たってから問題になる事もあります。こういう長期的な問題に対して、安全性と有効性が確立されていませんでした。満足度というと、一般的には患者さんが気楽に治療を受けられ、気分良く感じるといった事しか議論されてこなかったというのが現実です」

池田欣生・東京皮膚科・形成外科理事長・総院長「患者からぼったくろうと考えて医者になり、美容外科医クリニックを開業する人がいます。そういう人は繰り返し問題を起こすので、消費者庁の方にも情報が行っていると思います。私は勉強会を開いたりしていますが、消費者庁に問題を起こしているクリニックについて尋ねても教えてもらえません。何度も問題を起こしているクリニックに指導とかは出来ないのでしょうか」

内藤茂雄・消費者庁消費者政策課長「警察に、この人逮捕されますかと聞いても答えてくれませんが、それと同じ話です。個別にこの人どうでしょうか、という質問にはお答え出来ません。ただ、美容医療というサービスに限らず、何か問題があり、法と証拠に基づいて必要な材料が揃った時には、個別に処分等を行っています。公表資料等を見ていただければ、ある程度把握していただけるのではないかと思います」

尾尻「自由診療でやっている所に個別指導が入る事が出来る、という事でよろしいですか」

内藤「医療行為の是非については、消費者庁は専門ではありませんので、厚生労働省の方で必要に応じて対応していただけると思います。消費者庁は、美容医療に関しては、特定商取引法という法律に基づいて、広告の規制ですとか、契約に関するトラブルについて対応しています」

塩谷信幸・アンチエイジングネットワーク理事長「美容医療に関する基本的な考え方ですが、欧米で美容医療が認められるようになったのは、コンプレックスという概念が出てきてからです。それまでは病気を治すのではないから医療ではないとされていました。ところが、アルフレッド・アドラー(オーストリアの精神科医・心理学者・社会理論家)がコンプレックスを提唱し、精神分析では治療の対象であるとしたわけです。そこで、コンプレックスが病気なら、精神分析で治すのも、メスで治すのも、どちらも医療だという事になりました。欧米の美容医療の根底には、患者のコンプレックスの解消があるのです。私は美容医療に50年間携わってきましたが、美しくなりたいというのは正当な欲求であり、それをまず認める事が必要だと思います。日本の美容医療が抱えている問題を解決するには、医師の技術レベルの保証とクリニックの保証が必要です。医師の技術レベルの保証は、専門医制度の方で進めていただきたい。クリニックの保証については、30年ほど前にマル適(適正認定医)という制度を作りました。医療法が改正されてマル適を広告に出せるという前提だったのですが、医療法は改正されず、効力が発揮されないままになっています。これを美容医療業界に託して推進する、あるいはマル適をクリニックに対して与えるという事を、検討していただきたいと思います」

清川兼輔・久留米大学医学部形成外科顎顔面外科主任教授「昨日まで日本形成外科学会の理事長を拝命していました。大慈弥先生がJSAPSの理事長をされていまして、2人でこの数年間、国民に信用される安全で安心な美容医療を提供していくにはどうしたらいいかという事で、きちんとした技術を持った美容外科医を育てていくための教育システムを構築しつつあります。問題が起こらないように、問題が起きても適正に対処出来る医師を育てていく事が大切だと考えています」

尾尻「一部の医師が暴走しているのが現実ですが、医師免許を更新出来ないように免許制度を改正する事等は考えられないのですか」

諸冨伸夫・厚生労働省医政局総務課医療安全推進室長「医師免許制度の所管は医事課ですが、担当者不在のため、担当外ですが回答します。日本の医師免許制度は更新制ではありませんが、検討する事はあり得るかと思います。しかしながら、大幅な制度変更になるので、実現には様々な課題があるだろうと思います。また、細川先生の御講演では、医師の裁量権を狭めてでもやるべきとの御意見があり、非常に印象的でした。一方で、医師の裁量権の制限については、抵抗感を抱く方々が少なくないものと考えていますので、議論の進め方が大きな課題になってくると思います」

森文子・クリニックモリ院長「形成外科の専門医として国民生活センターの紛争解決委員会の委員を長く務めています。これまで形成外科医が訴えられたのは1件だけで、その時は話し合いが出来て、良い解決が得られました。しかし、美容医療に関する健康被害に関しては、何科か分からない医師が怪しげな物を使って被害を生み出していたりします。そうした状況に接していると、医師の裁量権についても医師であれば本当に何をしてもいいのか、と思います」

細川「医師の裁量権の問題ですが、保険医療に近いような管理監督を入れていかないと良くならない、と私は思います。自発的な事にだけ期待していても、なかなか難しいでしょう」

大慈弥「保険医療には専門医制度があって、医師の質も担保されていますし、教育もしっかりしています。一方、美容医療には教育の場がなく、開業すると経営が第一になってしまいます。そこを考えていかないと、美容医療の健全化の問題は大きくは変わらないのではないか、と思っています」

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